何か質問ある?と聞かれても何も浮かばない人の対処法

仕事に使える書籍レビュー

皆さんはこんな経験ないでしょうか?

会議やプレゼン等で、ひととおり説明を聞いた後、

「何か質問はありますか?」と聞かれても誰も何も質問せずシーン…

上司や人事との面談を行った時、最後に、

「何か質問ある?」と聞かれても特に何も浮かばない…

面接などではいわゆる「逆質問」と言われるものですね。

ちゃんと話を聞いていれば、質問や疑問は自然に出てきます!という方、質問するかどうかはプレゼンや話の内容による、という方、それもそうだと思います。

だがしかし、社会人には、

味がなくても話を聞かなければいけない

興味がなくても何か質問をしなければならない

そんな場面はないでしょうか?

何を隠そう、私は質問をするのが大の苦手です。

「質問ある?」と聞かれるといつも焦ってしまって、何か質問しようとしますが、何も浮かびません。

話はちゃんと聞いていたはずなのに、何も浮かばないのです。

わからない事を素直に聞けば良い、と言われますが、何がわからないのかさえわからないのです。

今回はそんな「何か質問した方が良いけど何も浮かばない!」という時に使えるテクニックを、参考となる書籍と共にご紹介しようと思います。

なぜ質問が思い浮かばないのか?

そもそもなぜ質問が思い浮かばないのでしょうか?

それは理解したつもりになっているだけで、実際は理解していないからです。

ひととおりプレゼンやレクチャー聞いて、頭の中に情報のインプットはできた事でしょう。

しかしそれは情報を「知っている」だけで、「理解したこと」にはならないのです。

この「知っている」と「理解している」の違いについては、柳川範之著『東大教授が教える知的に考える練習』(草思社 2021年)にわかりやすく説明されています。

「知っている」と「理解している」との間には大きなギャップがあります。理解しているというのは、その情報や知識を完全に自分のものにして、何かあった場合、臨機応変に使えるということを意味しています。いわば構造や本質をつかんでいるということです。(中略)構造をシンプルな形で理解しているからこそ、環境変化に応じて、その情報や知識を少しずつ変化させたメッセージにして出せる状態になるのです。

 柳川 範之 『東大教授が教える知的に考える練習』(草思社 2021年)

例えば、あなたは会議でこんな事を報告されたとします。

報告する人
報告する人

わが社は店頭での販売が減少し続けています。しかし、インターネット上に広告を出したことで業績は回復しました!今月は先月より売上が10%伸びています!

ここでよもぎのような質問が思い浮かばないタイプの人は

よもぎ
よもぎ

へぇ~、そうなんだ。売上が増えてよかったな~

…と思うでしょう。

これは「売上が10%伸びた」ということを知っているだけで、理解はしていません。

これではここから先に考えは広がっていきませんし、当然何も質問は浮かびません。

ところが、これを「理解しよう」とする人はおそらくこのように考えるでしょう。

部長
部長

売上は増えたのか!しかし、店頭での販売は減少しているのにインターネットの注文が増えている、というのはどういう事だろうか?インターネットの広告の効果があったのだろうか?それとも新しくしたテレビCMのおかげだろうか?

ここで部長は売上が上がった「構造」をつかんで、何かあったときに臨機応変に対応できるよう、本質を捉えようとしています。

その結果、例えば、「注文が増えたのはどの客層からですか?」というような質問が浮かぶわけです。

これが知識を「知っている」だけに留める人と、「理解しよう」とする人の違いです。

本質を理解するには?

では、物事の構造や本質を「理解する」ためにはどのように考えれば良いのでしょうか?

前述の  柳川 範之 『東大教授が教える知的に考える練習』(草思社 2021年) の中に参考になるヒントがあったのでいくつかご紹介したいと思います。

頭の中に問題意識の網を張る

前述の「売上が上がった」という例では、部長は「テレビCMを新しくした」という情報を持っていました。

これによって、そこから構造を捉えるための質問が浮かびます。

このように、普段から物事を考えて理解しようとする人は、背景となる情報を持っていることが多いです。

この「考えるベース」となるのが「頭の中に問題意識の網を張る」ということなのです。

もともとその人にあるぼんやりとした関心事や問題意識がもとになり、頭の中にぼんやりとした網がつくられてきます。そこに情報が流れてくると、大部分は網をすり抜けていくのですが、ごく一部の情報がその網に引っかかって残っていくのです。

引っかかった情報は時間がたつにつれポロポロと落ちていくこともあるでしょうが、中にはその後に流れてきた情報と合わさって、少しずつ育っていくものもあります。これがその人の「考えるベース」となっていくのです。

 柳川 範之 『東大教授が教える知的に考える練習』(草思社 2021年)

要するに、普段自分には関係ないからいいや、と思って見向きもしない情報でも、何かの時に役に立つかもしれないのでとりあえず頭の中の網に流しておく。

それが別の情報と合わさったり、何かの拍子に思い出したりして、考えるベースとなる、ということですね。

よもぎ
よもぎ

普段から興味・関心をもって、あらゆる情報に接しておく事が大事なんですね。

抽象化して構造を捉える

先ほどの例で部長は店頭での販売は減少しているのにインターネットでの注文が増加しているのはどういうことか考えようとしました。

これは売上増加の構造を捉えるために、抽象化しようとするプロセスです。

物事の本質を理解する上で、「抽象化する」ということもポイントになります。

情報を抽象化して理解するというのは、考えるプロセスの中においてとても大切です。なぜなら、多くの場合、求められるのは、かなり個別的で今までに見たこともない問題の解決策なので、どこかで得た情報をそのまま使えるわけではないからです。

(中略)応用をするためには、得られた情報を抽象化して理解しておくクセをつけるのが有効なのです。

 柳川 範之 『東大教授が教える知的に考える練習』(草思社 2021年)

例えば、先ほどの部長の「注文が増えたのはどの客層か?」という質問を受けて調べてみると、インターネットの注文は主に30代女性からのオーダーが増えているようでした。

よく調べてみると、以前は店頭で購入していた主婦層が、インターネットを使って定期配送を注文するケースが増えていることがわかりました。

このことから、「店頭での販売は減っているがインターネットでの注文が増えている」→「定期配送の増加によって売上が上がった」と捉えることができるかと思います。

そうすれば、今後この知識を応用していく事ができるのです。

例えば、定期配送の需要が増えているのであれば、定期配送を狙ったインターネットの広告に切り替える、という判断もできます。

よもぎ
よもぎ

よもぎのように「へぇ~そうなんだ」で終わらせていたら、この判断はできないですね。

日頃から抽象化して考えるクセをつけておくと、質問も浮かびやすそうですね。

 柳川 範之 『東大教授が教える知的に考える練習』(草思社 2021年) では、抽象化のクセがつく習慣として①幹をつかむ、②共通点を探す、③相違点を探す、の3つの問いを紹介しています。

①幹をつかむ

情報を抽象化する第一の方法は、その情報の大事なところ、本質的なところは何かを探してみることです。(中略)

それには、「一言で簡単に表現してみる」ことが有効です。

柳川 範之 『東大教授が教える知的に考える練習』(草思社 2021年)

②共通点を探す

情報を抽象化していく、次の大切なステップは、一見異なるように見えるものから共通点を探し出すクセをつけることです。ベストは、幹の部分について、どこか共通点がないか探し出せるようになることでしょう。

柳川 範之 『東大教授が教える知的に考える練習』(草思社 2021年)
③相違点を探す

似ているようにみえるけれども本質は違っているのではないか、同じ現象のはずなのに、このあたりで違うのはなぜだろう、と思考をめぐらすことで、抽象化のクセをつけていくやり方です。

柳川 範之 『東大教授が教える知的に考える練習』(草思社 2021年)
よもぎ
よもぎ

なるほど、質問を求められたら、一言で言うとなにか?似ている点は何か?相違点は何か?といった視点で考えると良さそうですね!

すぐに使える質問

何か質問ある?の問いに答えるには、普段からインプットした情報を「理解」するため本質を捉えたり抽象化して考える習慣が大事です。

その習慣を続けていれば、自ずと質問が出てくるかと思います。

よもぎ
よもぎ

でもなかなか習慣化するには時間がかかるし、すぐに使える手はないの?

そんな方のために、狩野みき著『世界のエリートが学んできた「自分で考える力」の授業』(日本実業出版社 2013年)から、よい質問のポイント12か条をご紹介しようと思います。

①いつ、どこで、誰が、何を、どのように
②なんのために?なぜそう言えるのか?
③情報にツッコミを入れる
④必然性を問う
⑤データなどの正当性・妥当性を問う
⑥あいまいな言葉をチェックする
⑦似て非なるものを引き合いに出す
⑧物事の両面を確認する
⑨きっかけ・期限について尋ねる
⑩なぜ「今」なのか、を問う
⑪長期的な展望について聞く
⑫インタビュワーになったつもりで、背景をたずねる

狩野みき著『世界のエリートが学んできた「自分で考える力」の授業』(日本実業出版社 2013年)

この12個のポイントを押さえておけば、いざ会議などで急に意見を求められたときも即座に対応できそうですね。

例えば、「CMの効果によって売上が10%上がった」という報告を受けた時、この12か条のポイントを使ってこのような質問ができるかと思います。

「何の商品の売上が上がったのですか?売上が上がったのはどの地域でしょうか?」←ポイント①なにを?どこで?の部分

「なぜCMの効果があったと言えるのですか?」←ポイント②なぜそう言えるのか?

「売上が上がったのは商品が多く売れたのでしょか?それとも商品の値段が上がったことで売上が増加したのでしょうか?」←ポイント③ツッコミをいれる

「本当に売上が10%も上がったのでしょうか?」←ポイント⑤データの正当性を問う。実は良く調べたら5%増加でした!なんてことも…

「同業他社も同様に売上が上がっているのでしょうか?」←ポイント⑦似て非なるものを引き合いに出す。他の会社でも同様に売上が上がっていればただ需要が増しただけ、とも捉えられますね。


「CMにはいくらのコストがかかっているのでしょうか?」←⑧物事の両面を確認する。売上が上がってもCMを流すコストが高いと、会社の利益にはなりませんね!

のような感じです。このような質問をすることで、会社の売上増加の本質が見えてきますし、報告を受ける会議の場でも今後の会社にとって有益なディスカッションができそうです。

よもひはこの12か条をノートに書き写して、会議等の際に参照できるようにしています。

こうすることで苦手だった質問の幅がぐっと広がりました。

まとめ

「何か質問ある?」と聞かれて何も思い浮かばない人の対処法

  • 普段から興味・関心をもってありとあらゆる情報に接する。頭の中に問題意識の網を広げておく
  • 物事を抽象化して理解する習慣をつける。幹となるもの、共通点、相違点を見出す
  • 困ったときは良い質問のポイント12か条を思い出す

参考書籍

今回、引用として使用させていただいた本2冊は、どちらも「考える力」について書かれたものです。

何も考えずに仕事をしていると、質問が思い浮かばなくて困ってしまうように、仕事をしていると、「自分で考える」という事がいかに大事かわかります。

この2冊はその「考える」という行為について、具体的な方法を交えて、とてもわかりやすく解説された本です。

このブログを読んでもよくわからなかった、もっと詳しく知りたい!という方、ぜひ手に取って読んでみてください。

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